「応援団」 金崎 茂

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

  応援団員に覆い被るようなアングルが、写真の内容とマッチしていて迫力のある作品になった。女子の団員が多く、その表情がしっかりとらえられていることが作品の一つの魅力となっている。炎天下、地面のコンクリートの白と学生服の黒という輝度差のある被写体の撮影とプリントは大変だっただろう。ハイライトをもう少し抑え気味にすると画面が落ち着くはず。またいっそのことモノクロ作品に仕上げるのも一つだ。「白黒」に変換し「ハイライト」を少し落としていくと、地面の質感も、そして何よりも団員たちの肌の「白トビ」気味のところが落ち着き、顔の質感までが出てくる。白黒の対比が生きて、応援団員の力の入った「格好」の面白さが強調される画面になってくる。ちょっとした調整で作品の質が変わってくる。
 この作品は、作者の被写体への「決死の寄り」がポイント。撮影者の頑張りが、応援団員たちの頑張りと格闘したところから生まれたものであると言えよう。