「雨が上がって」 望月導章

 選評 :全日写連関東本部委員 中村明弘

 雨上がりの路地を行く作者。①大きな木の影が雨に濡れた道路を包んでいる。さっきまでの強い雨は嘘のように上がり、まるでトンネルの出口が見えたかのように遠くの空が明るく輝き始めた。②マーガレットの群れに建物の隙間から強い光が差す。雨後の植物が皆そうであるように花々も頭をもたげそれぞれに歌い始める。そのざわめきが聞こえてくる。③自転車に乗った女子高生が路地の突き当りを走り抜ける。雨に閉ざされていた世界からの脱出。作者の心の曇をも吹き払ってくれるような爽快感が広がっていく。③の女子高生が右向きに画面から抜けていくようだと、作品のイメージはいっそう広がっていきそうだ。