「ランプで遊ぶ」 池田是伸

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 自動車側面の小さなランプにクロアゲハが止まっている。精緻なピントで蝶の足がランプにしがみついている様子がよくわかる。相手はガラスだ。蝶のストロー状の口がカーブしている。そのことに気づくと心に何かが刺さる。メタリックな車体とバックの色が呼応し、その明るい空間にすぽっと蝶がはまっている。蝶の姿は車体にも映っている。ランプの光と色に惹かれ、蜜などあろうはずもないのに…。そんなこのチョウの姿は、長い間蝶を撮り続けてきた作者の心にどんな思いを抱かせたのだろうか…。冷静に、そして的確にフレーミングし、シャッターを切る。その腕前はなんとも見事なものである。