「白足袋姿」 望月導章

 選評 : 関東本部委員 中村明弘

神輿を担いでここまで来て一休み。川筋に沿った低い堤防がちょうどいいベンチ替わりとなり、ずらっと並んだ担ぎ手衆。手前の口を開けた男性の荒い息遣いが聞こえてきそうだ。彼らの顔と履いている白足袋とが、直線を描くようにして奥へ向かって視線を誘導する。そしてその先に神輿が…と、パースペクティブの強い写真になっている。男たちが遠近法の世界にすっぽりはまったような形の面白さがあり、また、手前と奥の人物の極端な大きさの違い、さらに白黒に置き換えたことなど、現実から少し離れた別な世界が作者のみごとな造形感覚によって創られた作品になっている。