「門出の日」 鈴木裕子

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 晴れ着の女性の目の表情に注目したい。「目は口ほどに物を言い」とはよく言ったもので、大きなマスクがこれだけ顔を覆ってしまうと、残るは両目と眉だけとなるが、その目が「モノを言っている」。斜め後ろからカメラを構えているのは誰だろう? それを感じ取ってか、女性の目線が面白い…。 まさか、知らん振り? そうでもないらしい…。もうお分かりだと思うから、説明は止そう。見逃してしまえばそれまでだが、よくこの場の状況をウイットに富んだ作品にしたものである。
 この門出の日、素敵なロケーションを選び、こんなに一生懸命写真を撮っている「親御さん」の想いがよくわかる。娘さんも、今日ばかりは親の言うことも素直に聞ける…。そうやって、子どもは大人へと成長していくのだろうな。