「やきそばにトライ」 森田光衛
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
今年で85回目を迎えた伊豆下田「黒船祭」での一枚。花火大会やらパレードやらと街中が賑わう中、作者が見逃さなかった一枚。焼きそばと格闘するアメリカ水兵さん…。この街に溶け込む若い水兵さんの様子は、長い時間が生み出した一場面なのだろう。この水兵さん、箸の持ち方がいい。なかなかこうは持てないものだ。決して「きれいな」食べ方とは言えないものの、一生懸命である。左手は…と見ると、セーラー服を汚すまいとしっかり胸の所で押さえている。缶ビールは飲みかけかな?もう一缶開けてないのがあるぞ!…後ろの「焼きそば」の文字の一部も、この場合、わざわざ説明をしているようで愛嬌があっておもしろい。大きな祭りの中に見つけた「アメリカ水兵さんと焼きそば」というミクロ的な視点が、案外、この祭りの本質的な部分を見せてくれているのではないだろうか。