「哀愁」 神尾一
作者コメント : 神尾一
途中でオーナーは変わったものの、かれこれ30年近く前には行きつけだった、蔵を改造したレトロな喫茶店に久し振り入ってみた。カウンター席のみで、相変わらずひっそりとしていて薄暗く、落ち着いた雰囲気は変わっていなかった。コーヒーを頼んでから辺りを見回したら、何故かピアノの前の椅子に一匹の犬が鎮座してこちらを見ているのに気付いた。中型の日本犬であるがおとなしくして居るので存在感が薄い。見慣れぬ客が来たためか落ち着かぬ様子で辺りをキョロキョロ見回しているが、その仕草が何とも可愛い。長い年月をこの蔵の中で過ごしているのであろう、人間で言えば60~70歳位か?その眼差しが何ともやるせなく、哀愁を帯びた雰囲気を漂わせている。その姿態に心惹かれて、思わずスマホを取り出して何枚か撮影した。

