『隅田川』 大石憲一

 選評 : 神尾一(支部選評担当)

 隅田川の勝鬨橋から見た月島方面の遠望であろう。穏やかな水面を背景に、高層ビル群が立ち並ぶ正に現代の東京新景である。空と水面のブルーが非常に美しく表現された素晴らしい風景写真である。非常にクールで、光の読み方も上手く、川面の波紋も美しいアクセントになっている。但し、画面が横方向に完全に二分割されてしまっていて、水面が主なのか、高層ビル群が主題なのかが定かでない。高層ビル群に惹かれたのであれば、下の川面をもっとカットし、水面の美しさに惹かれたのであれば画面右の超高層ビルは三分の一位上をカットし、更に左側の白っぽいビル群をカットした方が作画意図がより明確になる。勿論撮影後にトリミングをするよりも、撮影前に自分がどこに興味を惹かれているのかじっくり考えて、立ち位置や、フレーミングをキッチリやる事がより重要である事は言うまでもない。