「五月晴れ」 大石ます代

講評: 大西みつぐ

 きれいな五月晴れですが、なぜかお兄ちゃんは浮かぬ顔。その心に去来するイメージのようなものが、ポッカリと雲になって漂っているようです。こうしたドラマチックな設定は偶然の産物でしかないのですが、思い切った縦位置のフレームで、コントラスもきかせ印象をストレートに表現したところが秀逸です。私たちがこうして写真をながめている時間の数倍、このお兄ちゃんはここを動かなかったのではないでしょうか。