「潜在光景」 松浦邦夫

講評: 大西みつぐ

 蛇か這うという光景は、それこそ潜在的に鳥肌が立つような感覚を私たちに与えます。さらに、そこにこうした「廃車」や「廃屋」など打ち捨てられたイメージが加わると、非日常的な世界が出来上がってきます。それはおとぎ話しのような平穏なものでなく、中枢神経を逆なでするような生理的で残酷なものかもしれません。それらのイメージを押しつけるような近接撮影でなく、しばし呆然とながめているこの距離感が面白いと思います。