「砂山」 森 一弘

講評: 大西みつぐ

 カメラが切り取るところのこうした風景から、私たちは「スケール」というものを考えます。それは一体どれほどの大きさなのか、まさに「砂を数える」がごとく、一粒と「わたし」という存在を相対化させるといっていいでしょう。そうした思想的、哲学的ともいえる命題を抱えながら、かつ美しいモノクロームプリントとして連なっているのが魅力です。こうしたランドスケープは地味な印象でしょうが、写真の原点ともいえる問題をたくさん抱えています。