「62年後の追悼」 斉藤伸也

講評: 大西みつぐ

 それらしい物語を連想させるようにして巧みに組まれたものとは異なり、ここには壮大にして悲しい物語、いや人間の記憶があります。作者は友人の墓参(ロシア)に同行し、同じようにして亡くなった父を追悼するのが目的だったようで、そうした心からの想いが、素朴に3枚に反映されています。私たちの抱えている時間軸を検証することは、私たちの未来へとつながるものです。組写真ならではの真摯なテーマがご自身の関わりとしてよく表出されています。