「セミ捕り」 山田 康

講評 : 大西みつぐ

 夏の午後。一瞬の出来事ははかないものですがみんなの心に深く刻まれていきます。計画し狙って撮れたという写真ではなく、偶然がきれいに重なってひとつの光景が出来上がってしまった作品。スナップショットならではの軽い緊張感をもって時間と空間が見事にスライスされています。網の影が実際よりも長く延びて、これからスクスクと育ってほしいという願いを託すかのような「構図」。傍らのおばあちゃんの笑顔が印象的です。