「路地」 樋田 進

 ネオンがよく似合う歓楽街を、真昼の光が容赦なく降り注いでいる。夜には妖しくみえたものも恥部のように露わされて、痛々しい。さらに強い光が、細部の影を強く残し、歓楽街のイメージをいっそう破壊しまっている。その影を上手く取り込むんでいる構成力はすばらしい。その中心に赤猫が、堂々の女王様の出で立ちで、真昼の闖入者を諫めようとしているようにも見える。赤い看板、黄色いビール箱、小さい色面積だが、無彩色の多い画面の中で効果的に配されている。