「 予兆 」 奥島美樹

 選評 : 関東本部委員 中村明弘

3枚に共通するものは、「言い知れぬ不安」である。電線に集まったムクドリの群れ、外敵を防ぐにはこうして集団で集まり、周囲の安全を確認しているらしいのだが、何とも不気味である。一触即発、いつ一斉に飛び立って空一面を曇らせてしまうかわからない。流木に止まっているカラスも右、左と警戒を怠らない。そんな不安が的中したかのように突然馬が跳ねた。確かに予兆はあったのだ。作者はその予兆を増幅し、右の一枚で一気に爆発させた。しかし、予兆は見る者の心の中で息をひそめ続ける。

組写真では、3枚目がむずかしいと言われている。3枚目に何を持ってくるか、4月から組写真に取り組んできた方は、そろそろそのことに気づき始めているのではないだろうか。世阿弥の言う「序破急」をピントにするのもいいかもしれない。組み方は無限である。自分なりの組み方を楽しんでみることだ。動物好きのこの作者も、前回提出してきた「ほのぼのとした」組写真とは全く違ったものを持ってきた。そういう「違った自分」に出会えてしまうのが、「組む」写真の楽しいところだ。