「アパート」 3枚組 宗像正人
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
何が人にシャッターを切らせるのか。この組写真を見ていると、ふとそんなことを考えさせられてしまう。物語を言葉で説明してしまったら、つまらなくなって消えてしまいそうだ。だから、説明はよそう。じっといつまでも見ていたくなる、そんな組写真である。写真を撮らせるものが幼いころの記憶であったとしたら、なんとナイーブな精神の持ち主であろうかと思う。この抒情は失くしてほしくないものだ。この3枚の組写真に留まらないで、10枚、20枚とまだまだ広がっていきそうなイメージの広がりがある。少年が画面の外へと向かって歩いているようで、「よかった!」。