「 晩夏 」 宗像正人 (3枚組)
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
暑い夏を凌ぎながらそれぞれに生きている植物たちに、ここまで寄って、場合によってはフラッシュさえも浴びせて写し撮ろう、切り取ろうとする作者の姿勢に共感する。3枚それぞれに背景への配慮があり、写真を単純なモノに終わらせないところもこの作者らしい。「晩夏」と聞くと何か「ゆく夏」への追憶のようなものを浮かべてしまうが、この組写真、特に右の2枚からは、夏の終わりを迎え、ますますたくましい植物たちの生の姿を感じる。作者もその生の在り様に畏敬を持って対峙しているようで、味わい深いものが感じられる。そんな思いで眺めてみると、左の一枚はねらいが少し弱く、あいまいなものになってしまったようだ。