「渚の兄妹」 竹之内範明
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
波が引いていく渚に、取り残されたように立つ二人。次の波は引いた波とぶつかり合ってその勢いを弱め、二人へ押し寄せるのを躊躇(ためら)っているかのようだ。激しい波音の中、刻々と形を変える波に魅入ったまま立ち尽くす二人。海と大地の作り出す自然の造形に対峙する小さなこの二人の姿がなんとも魅力的だ。女の子がちらっと顔をこちら側に向けた様子も何か瞬間のドラマが感じられる。
画面に描かれた「静と動」、その描写の美しさにしばらくじっと眺めていたくなる作品である。
「渚の兄妹」 竹之内範明