「相棒」 宗像正人

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

  開店前のひととき、店の前でスマホに夢中の男。店の主人だろうか。おそらく撮られていることにも気づいてないに違いない。冷静な撮影者は、レンズの画角を計算に入れ、素早くシャッターを切る。ノーファインダーだ。ファインダーを覗いたり、液晶モニターを見てしまったら、こういう風には撮れなかっただろう。多少、トリミングはしただろうが…。

道路標識の白いポールや店の四角い看板、大きな赤い文字、丸くしゃがみこむ男。モノ、モノ、モノ…と、堂々と横並びの写真なのに、その大胆なフレーミングが強い写真にした。バックの左奥に入って行く空間が効いているのだろう。題名の「相棒」とは何だろう。男の黒いTシャツにプリントされた眼鏡をかけた猫…黒いひげある。それが答えだ。それもクイズっぽくていいかもしれない。写真は眺めていて何かを発見する楽しみもある。黒と白の画面にわずかな赤と水色が印象的だ。

「相棒」 宗像正人