「みたま祭り」 望月導章

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

護国神社の「みたま祭り」。たくさんの提灯が並ぶ昼の光景はよく写真で見かけるが、夜を撮ったモノは珍しい。こうして夜、身近な「祭り」として近所の住民が集う様子は、新鮮な視点であり、のどかな情緒が溢れている。夜になっても一向に涼しくならなかった今年の夏だったが、子どもたちの動きは活発だ。それと対照的に一杯やりながら涼む大人たちの様子の対比が面白い。左右の写真の両端の人物がそれぞれ内側を向いているのも、組写真に安定感を生んでいる。特に子供の動きが気持ちよく捉えられていて、重い鎮魂の祭りの中に、なにかさわやかな光明のようなものを見る思いがする。戦後70年が過ぎていく「今」、立ち止まって振り返ってみたくなった。