「初夏の用宗港」  望月導章

選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 さわやかな初夏の空気感の詰まった作品である。漁港の建物の中からの撮影で一種のトンネル効果が生まれ、風景が枠の中に入った絵のように美的に強調されている。印象的なのは、白い雲と対比して配置された二人の子どものシルエット像。「絵」のような静止的な世界に、ボールを追う瞬間をシャッターチャンスよろしくとらえた「写真」というものが、鋭く入り込んだようなスリリングな趣のある作品である。