「ネコ」 阿部美智子
選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘
本物の猫である。きっと名前もあるに違いない。何か入れ物から身を乗り出しているのだが、ちょこんと出した手は短く、窮屈そうで服でも着ているようにも見える。そうだ、学ラン姿のあの「なめ猫…」…。まあ、そんなものも思い出させる猫である。真正面から何のてらいもなくストレートに撮っているのに「おもしろい」。説得力がある。何といってもこの顔の魅力は大きい。勝手な想像だが、カメラマンに何か言っているかのようにも見えてくる…、ドスの効いた声で…「ナメンナヨ!」…かな、やっぱり。 逆光でラインライトが生きていて、被写体を強く浮き立たせている。周囲に余分なものが入ってはいるが、モノクロにしたことで画面に白黒のアクセントができて、画面を面白くしている。素直な写真には、力がある。
(ちなみに、例会で会員からの投票数が一番多かった。)