「不夜城」  神尾  一

作者コメント  神尾  一

 東京の超高層ビルから見下ろした夜景である。最上階の展望テラスからは、遠くに東京タワーも見え、無数のビルにも明かりが灯って何とも美しい夜景であるが、何気なくテラスの一番隅の立ち入り禁止区域近くの窓ガラスに鼻をくっ付けて下を覗き込むと、摩訶不思議な光景が広がって居た。画面右側の格子状の銀色のビルの中では、未だ大勢のビジネスマンたちが忙しそうに立ち働き、その一方で、地上の方へ眼をやると、多数の車や、歩行者達がナトリウム灯に照らされて動き回っている。銀色の高いビルがお城の城郭で、オレンジ色の道路があたかも城を囲む堀のように思えた。画面左隅の下りエスカレーターと、そこに乗っている人達の動きを上手くブラして写し込めたら、画面に動感を与えられ、更に不思議な光景になったかも知れない。