「夏空を映す」 齋藤成伸

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 低い位置にある大きなカーブミラーに映る空。それが周囲の実像の空と違和感なく溶け込んでいる。遠くの風景もまた実像と虚像とがまるで地続きのように繋がって、カーブミラーの存在など感じさせないフレーミングが秀逸。しかも、今、まさにどこから飛んできたのか一匹のカマキリが、まるで自分自身の姿を鏡に映して、うっとりと眺めているような面白い位置に写っている。夏、真っ盛りである。こんな一角に夏を写し込んでしまう作者の感性がすばらしい。