「干すほどに婦人の長」 野崎三郎

選評:全日写連関東本部副委員 神尾 一

 題名を見て、はてどういう意味だろうと思ったら、作者が言うには、干し大根は女性にとってお肌に良い?成分が含まれるからこの様な題名にした由。美しい夕焼け空をバックにした素敵な風景写真である。逆光なので普通なら干してある大根は真っ黒になってしまい奥行きの無い写真になったであろうが、作者の卓越したレタッチ技術によって違和感なく周りの風景に溶け込んでいる。又、これは偶然の産物であろうが、ハロや、ゴーストも巧い位置に美しく表現されており、物悲しい晩秋の雰囲気を良く表わしている。この作品の優れているのは、色調的な美しさだけでなく、心象風景にも繋がる作者の心が伝わる作品となっている点であろう。但し、題名が、作品から受ける印象と乖離して居る感じがするので、一考を要するのではないか?