「うみのそこ」 阿部美智子

 選評 : 全日写連関東本部委員 中村明弘

 そんなはずはないのだが、少年がまるで海の底を泳いでいるかのような写真である。これでポカーンと空けた口からブクブクと水泡が昇ってでもいれば、そういうことにもなるのだが。そう、これは水族館での一コマなのである。写真は「謎」が隠されていると、見る者の創造力を刺激して面白い。この作品も、ちょっと謎めいたところがあり、さらに少し見る者を不安にさせる「怖さ」もあるようだ。少年の顔に差す青色の光、画面のほとんどを濃い青が覆う。少年が何を思っての行動かそれも「謎」である。