「異景の町」 神尾 一

 中央の写真を何とかして組み込みたいという意志から、撮りためた多くの写真を取り出し、繰り返し、何度も、入れ替え並び変えしている内に、収まってきた作品なのだろう。しかし、中央の手のオブジェがなんとしても強く、意味性も高いく、これを鎮め仕切れなかった。特に左、一枚としておもしろいのだが、他の2枚に比して、モノ性が弱い。写真の語り口、写真の言語的側面をよく知るベテランの味を感じさせる作品だ。