「ひとひらの雲」 望月大介

講評 : 大西みつぐ

 看板の文字や標識など、記号は具体的な意味をそこに表してしまうことがあり、できれば画面の中では避けたり、慎重に扱うべきものです。この作品はそれを逆手にとったようで、「直進」が空(それも雲)を指し、「左折」が左方向に動きを強いり、雲のたなびきとは逆の力を感じさせ面白い効果を与えています。構図としてもシンプルで、だからこその不思議な静寂さを画面にもたらしているようです。「垂直」をきちんと出したのがよかったです。